「日本的偶像 进入中国」
この意味わかりますか?

 2000年初めて北京に行き、中国ドラマ「永遠の恋人」の撮影に参加。
撮影も終盤に差しかかったある日、北京の新聞にでかでかとこんなタイトルの記事が掲載されていた。
和訳すると、「日本のアイドル、中国に進出」。
「日本のアイドル」とは、誰だと思います? 
何を隠そう、僕、矢野浩二なんです。ふざけてますよねぇ~。

 誌面には、爽やかに微笑む僕の写真、そして、『永遠の恋人』の撮影に取り組む様子が記事で紹介されていました。
「その愛嬌のある親しみやすい笑顔でスタッフともすぐに打ち解け、現場は終始和やかムード。中国語での撮影に果敢に挑んでいく日本のトップアイドル・矢野浩二は……」。
 そうなんです。僕の知らないところで、矢野浩二が「日本のトップアイドル」になっていたんです!

この新聞を目にしたとき、誰よりも驚いたのが僕自身。
日本ではもっぱら森田さんの付き人として送迎役に徹し、映画やドラマの脇役しか経験したことのない僕が、一度中国ドラマに参加したからと言って「トップアイドル」扱いなんですから。

この記事をきっかけに、僕のメディア露出を中心に据えた大々的な番組宣伝がスタートして、撮影のちょっとした合間にもテレビや雑誌の取材が山のように入ることになった。
今思えば、何とも滑稽な話です。
「アイドル・矢野浩二」としてもてはやされている男は、当時何の実績もないペーペー役者でしたから。
それなのに、バラエティー番組にゲスト出演すれば、「日本では、アイドルとして若い子に人気があるそうで……」と話が進められる。
恥ずかしさとちょっぴり罪悪感を感じながら、それを隠すのが大変でした。
雑誌の撮影では、子猫を抱き、ブーケを手にしていかにもそれらしく写真を撮られる。
出来上がった雑誌の中で、インタビューの内容と何の関係もなく子猫を抱きかかえている自分の姿を見て、「なんやこいつ!」と、我ながら噴き出しそうになった。
でも、自分で違和感をおぼえながらも、内心は嬉しさもありましたね。
漫画のような話ですけど、「アイドル」という感触を短期間でも味わえたのは、僕にとって夢のような時間でした。

2か月半が経ちクランクアップが近付くにつれ、次第にスタッフがこんなことを言い始めました。
「このドラマが放送されたら、浩二は間違いなく中国でも有数の人気アイドルになるよ」
 ドラマに1本主演したぐらいで、そんなまさか……。
「矢野さん、『永遠の恋人』の撮影が終わっても、ぜひ中国に来てください! あなたは絶対スターになります!」
2か月半お世話になりすっかり仲良くなった通訳の方までもが、僕に向けて言う。
最初は疑わしく思っていたけど、みんなが異口同音にそう言うので、自分も「ひょっとして……俺、中国でアイドルいけるんちゃうか?」という気持ちになってきた。
洗脳って本当怖いですねぇ~違うか
でも、僕が中国でやろうと思った理由は、実はこんな感じだったのです。
人に言われて、その通りに動く。
積極果敢に攻めるのも良し、場合によってはこのように言われるがままケセラセラで川の流れに任せるのもいいと言うことですね。
人生おもろ。。

矢野浩二

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